人の側で生きるもの「犬」(1)

『犬』:いぬ(ケン)

まずは「犬」です。

私たちの暮らしのなかで、常に人に寄り添い、癒しを与えてくれる動物といえば、真っ先に思い浮かぶのは「イヌ」または「ネコ」などの「ペット」ではないでしょうか。

今や「ペットブーム」は留まることを知らず「少子化」もまた「ペットブーム」に拍車をかけているようです。

なかにはペットに愛情を注ぎすぎ、ペットの姿が確認できないとパニックに陥る飼い主も続出しているといいます。

このように飼い主がペットに示す、極度の「依存症」を患っているケースは少なくなく、飼い主のみならず、ペット自体も飼い主に依存し、1人で家にもいられないペットも増えているそうです。

ここまでくると、いささか問題なような気もしますが・・・(苦笑)

それだけ愛情を注げる対象に出会えることは、ある意味、運命に近い「奇跡」かもしれません。

「犬」という漢字は、皆さんがお察しの通り「大」の側に、点を打ちます。

これは「大=人が手を広げて立つ姿」の側に、小さな動物が付き従う姿をかたどっているものです。

人の側で生きるもの「犬」(2)

その昔「犬」は貴重な食料でもありました。

中国では、現在でも「犬肉祭」という名称の犬を食する文化があります。

文化と呼ぶにはあまりにも理不尽な行事ですが、毎年この「犬肉祭」によって、多数の犬が犠牲になっているそうです・・・。

ただ、実はその風習のような行いは、地域によっては日本でも残っているようです。

例えば、妊娠5ヶ月目に入った最初の「戌の日」に、妊婦さんが腹帯を巻いて安産祈願のお参りをするとか、生まれたばかりの赤ん坊の額に「犬」という文字を墨で書き、健康でたくましく生きられるようにと願いを込める、という具合です。

では、なぜ「犬」なのか・・・。

「犬」の歴史は古く、はるか1万5千年以上も前から、人と共に生きてきました。

人と意思の疎通を図り、野生のオオカミなどから人を守る強さと能力。

その勇敢さと聡明さにあやかれるようにと、呪術的な「魔除け」や「力の象徴」とされたためです(その思考の正当性に、根拠があるかどうかは定かではありませんが・・・)。

また「犬」は、食料の少ない冬の時期に、貴重なタンパク源として不思議なほど人の体を温めたと伝えられています。

「黒犬」は、雨雲を出現させる能力があり、「赤犬」は影を消す能力がある。

このような言い伝えが当時では一般的で、雨が降らない干ばつの日は「黒犬」が、悪いことが続くときや、悪霊の災いが疑われるときは「赤犬」が。

儀式の際の生贄として、祭壇に上げられることも珍しくはなかった時代です。

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