生きながら甲羅を剥がれる亀「押」
『押』:おす(オウ)
「荷車を押す」「押し出す」など、力を込める、押さえつける、という意味で使う言葉ですね。
この形を皆さんは、どんな風に捉えますか?
ヒントは、ある動物がこの「漢字」には隠れています。
容易に想像できる人もいるかもしれませんね。
答えは「亀」です。
「田」の漢字に似た部分が「亀」の甲羅にあたります。
では、左側の「てへん」はというと・・・。
もう分かりますよね?
「てへん」は「人間の手」です。
では「亀」と「人間の手」は、どう繋がるのか・・・。
先述した「占卜(センボク)」を覚えているでしょうか?
古来中国では「占卜(センボク)」が盛んで、亀の甲羅や牛、羊など、動物の骨を火で炙り、浮き上がってきた「模様」で吉凶を占いました。
そのとき「亀の甲羅」を使うのですが、この甲羅は死んだ亀から剥がすのではありません。
神への奉げものとして用意する《生贄》ですから、殺してしまうわけにはいかないのです。
そのため、生きたままの亀の甲羅と身の間に小刀を差し入れ、生皮を剥ぐようにザクザクと刃を入れるのです!
そのとき、暴れる亀を押さえつけていたのが「押」の左側の「てへん」です。
つまりこの漢字は「人の手」で無理やり「亀」を押さえつけ、殺さずに生きたまま、その
身から甲羅を剥ぎとる様子をかたどったものなのです。
実に生々しい漢字です・・・。