酒樽を恭しく奉げる様子
『樽』:たる(ソン)
ここでは、神にちなんだ漢字として「樽」という漢字を紹介します。
この漢字の面白いところは、木偏の右側の旁(つくり)です。
この旁(つくり)は、もともと「尊」と書きました。
「尊」:とうとい(ソン)
「木」と「尊」を合わせて「樽」です。
木偏が付きますから「樽」とは、ご想像の通り、木製の「樽」のことです。
そしてこの「樽」には、主に「酒」を入れて使用していましたから「樽」と言えば「酒樽」というように「樽」とは「酒樽」を指す言葉として、民衆の間で浸透していました。
では、この「尊」という漢字を分解してみましょう。
この「尊」という漢字の上部を見てください。
上の「八」の字を逆さにしたような《チョン、チョン》と点を打ったような形は、何を意味すると思いますか?
これは「お酒」を意味する形です。
口が狭くなった大きな器に入れられたお酒から、発酵した香りが立つ様子を象形した文字なのです。
そして、下の「寸」という漢字。
これは「人の手」を意味します。
両手で「酒樽」を捧げ持ち、丁寧に神前に供える、という様子から、何かを尊ぶさま、丁寧に所作するしぐさ、を表した漢字なのです。