〇〇を逆さにした形(1)

『王』:きみ(オウ)

ここでは、皇帝・王に纏わる「漢字」を紹介するにあたり、一番ふさわしい漢字から触れていきたいと思います。

約3000年前の古来中国「殷(いん)の時代」。

その国で最も権力のある最高位の権力者を「皇帝」と呼び、その臣下であり「皇帝」の次に「力」を保持する権力者を「王」と呼んでいました。

さらに「皇帝」と「王」で《執行力》や《拘束力》などに格差を付け、「力の差別化」を図っていたのです。

この上下関係の確立は、漢字の形を見ても分かると思います。
「皇帝」の「皇」という漢字には「王」の字が含まれていますよね?

その上に「白」という漢字。
この「白」という漢字には「骸骨」「人の頭」または「煌びやかな飾り物」という意味が込められています。

「王」の上に「人の頭」「煌びやかな飾り物」王より地位の高い位。

・・・そうです!
つまりは「皇帝」が「王」よりも格上だ、ということを明確に民衆に表明していたとも言える漢字なのです。

逆さにした形(2)

では、この「王」という漢字の由来は、一体どのようなものでしょうか?
詳しく見ていきましょう。

「王」という漢字の由来は「大きな鉞(まさかり)の刃の部分を下にした形」を象形しています。

「鉞(まさかり)」と言っても、ここで出てくる「鉞(まさかり)」は「武器」ではありません。

王として、権力者としての「力の象徴・権力」を示すシンボル的な要素で使われる「鉞(まさかり)」です。

そのため大きさもそれなりにあり、刃先のキレ味というよりは、煌びやかな装飾品がふんだんに施された見た目の華やかさが重視されていました。

また、この「鉞(まさかり)」は、戦いのため戦地に赴く戦士や、王の名を受け旅立つ臣下たちの儀式にも用いられていました。

「王」のシンボルである「鉞(まさかり)」の背中に足を乗せ「鉞(まさかり)」の力を授かり勝利を勝ち取る、または、臣下の道中の旅の安全を願うというような、験(げん)担ぎ的な要素も含まれていたようです。

そこから『往』:ゆく(オウ)という漢字も生まれました。

この形はまさに、戦いに赴く戦士や旅立つ臣下が「鉞(まさかり)」の上に足を乗せ、その力を授かる姿を象形した形なのです。

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