陶酔状態の若い巫女

『夭』:くねらす(ヨウ)

この漢字は、1つだけで使用するよりも「竹」や「女」などの部首を付けて1つの漢字とするのが、現代では一般的ですね。

例えば「妖」:あでやか(ヨウ)、「笑」:わらう(ショウ)という具合です。

そして、この「夭」という漢字に秘められた意味は「人間が身をくねらせて、たおやかに踊る様子」を象形したものです。

この「人間=人」とは、主に若い娘・または女性の「巫祝(ふしゅく)=巫女」を指しています。

つまり「亀卜(きぼく)」を行う際、神からより良い「神意」を賜れるようにと、巫女が全身全霊で踊るさまを象形したものなのです。

神を楽しませ、喜ばせるために神前で身をくねらせる巫女。

その姿は、一種の陶酔状態に陥っていて、妖しく艶やかに、周囲の人の視線をも釘づけにしたといわれています。

このような様子から生まれた漢字が「妖」、「笑」です。

「笑」の部首である「竹かんむり」は、楽しげに手を振りかざし踊る、巫女の細い手を表現しています。

いつの時代も、若い女性は妖しく艶やかで、意図なく周囲の目を奪うものなのでしょう。

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