遺体の一部を引きちぎる兵士「趣」

『趣』:おもむき(シュ)

この漢字には、少々、血なまぐさい逸話が伝えられています。

古来中国、戦国の時代は、敵方の兵士を殺した数によって、皇帝から褒美が貰える時代があったようです。

しかし、何人の兵士を殺したかというのは自己申告制であったため、なかにはウソをついて褒美を貰おうとする兵士もいたそうです。

そこで皇帝は、敵方の兵士を殺した証とするため、殺した兵士の両耳を切り取り、持ち帰るようにとお触れを出します。
条件は、両耳であること。

片耳では誤魔化しがあるかもしれないため、切り取る耳は必ず、両耳である必要がありました。

しかし、夏の暑い日などは生身の遺体の損傷は激しく、半日もすれば途端に腐りはじめ、悪臭を放つようになります。

さらに、急がなければ、切り取った耳は乾いて縮み、徐々に小さくなります。

やがて、人の遺体の一部とは分からないほどの単なる肉の塊のようになってしまうのです。

兵士たちは、こぞって敵方の兵士を殺し、両耳を引きちぎり、急いで皇帝のもとを目指します。

「趣」という漢字は、兵士が敵方の兵士の両耳を引きちぎり、褒美を貰うために、いそいそと走り急ぐ様子を漢字にしたものです。

その姿は嬉々とした狂気に満ちて、まるで獲物を狩って巣に持ち帰る猛獣のように、誇らしげに顔を上げていたそうです・・・。

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