第二十三章 文章のリハビリテーション 二

  • HOME > 第二十三章 文章のリハビリテーション 二

第二十三章 文章のリハビリテーション 二

まず、私が二番目にブログに書いたものを再録します。

〈「浮遊と落下
――この浮遊感は何なのだらう。ふわふわと浮いてゐるやうでゐて、何故だらう、何処か底の知れぬ奈落へと落下してゐるやうな嫌な感じだけが脳裡を掠める……
さて、不意にお前は口に出したな、「許して下さい」と。お前は今、パスカルの深淵の真っ只中さ、へっ。〉

この文章から「自由落下」が思い浮かんだ人は勘が鋭いです。
この「浮遊と落下」は「自由落下」がモチーフになっています。
自由落下」の状態とは不思議なもので、落下しているにもかかわらず、実際に感じるのはふわり浮いている感覚しか感じないのです。
その好例が宇宙飛行士の宇宙での無重力状態で、あれは、宇宙船が高速で地球を回っているのは重力に対して引っ張られる力と等しい遠心力を得るためで、あの宇宙飛行士が宇宙船で無重力状態になるのは「自由落下」している状態ということです。

その「自由落下」の状態を暗示させるために、

〈――この浮遊感は何なのだらう。ふわふわと浮いてゐるやうでゐて、何故だらう、何処か底の知れぬ奈落へと落下してゐるやうな嫌な感じだけが脳裡を掠める……〉

と書き出しているのです。
この文章は私が最初にブログに書いた「自同律の不快」での感覚を引きずっていて、「自同律の不快」で私の傍らにぽっかりと空いている深淵へと飛び込んだ次の状態を

〈――この浮遊感は何なのだらう。ふわふわと浮いてゐるやうでゐて、何故だらう、何処か底の知れぬ奈落へと落下してゐるやうな嫌な感じだけが脳裡を掠める……〉

として書き表しているのです。

更に「浮遊と落下」については次回に譲ります。

右矢印第二十四章 文章のリハビリテーション 三」へ

スポンサードリンク